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マンション管理会社を変更する際の手順は?失敗してしまう例を解説
マンションは、居住者にとってかけがえのない住居であるとともに大切な資産です。マンション管理会社のサービス内容に不備があったり、住民の不満が高まったりしている際は、思い切って管理会社を変更した方がよい場合があります。
この記事では、マンションの管理会社を変更するための手順を紹介します。どのような場合に変更に失敗してしまうのかも解説していますので、ぜひ参考にしてください。
マンション管理会社を変更する全手順
マンションの管理会社を変更するためには、下記の9つの手順を踏まなければいけません。1つずつ説明していきます。
1.管理会社の問題点を明確化
組合役員を中心に、管理会社の問題点を明確化して整理することが必要です。まず理事会を開催し、管理会社の問題点について理事会メンバーで話し合います。
管理会社の問題点には次のような事例があります。
- 管理内容に対して管理費が高い
- 担当者の対応が悪い
- マンション内の問題に対するアドバイスが適切ではない
- 言ったことしかやらない
理事会で管理会社の変更を検討した方がよいという結論が出た場合、全組合員に対するアンケート調査を行い、組合全体の意見を集約しておきましょう。
2.管理会社へ見積もり依頼
複数の管理会社に見積もりを依頼し、現地調査を行ってもらいます。見積もりに参加する会社すべてに現在の管理内容と同じ条件を提示し、公正に見積もってもらうことが重要です。管理委託契約書に基づいた管理内容を提示して、少なくとも3~5社に依頼しましょう。
見積もりは書面だけではなく設備や建物の確認などが必要なため、現地調査に立ち会います。下記の書類の他、必要に応じて管理組合で保管している書類を準備しておきましょう。
- 管理委託契約書
- 設計図
- 点検報告書
現地調査後2~3週間で、見積もりや提案書が届きます。
3.管理会社の選考
届いた見積もり・提案書を理事会で比較検討し管理会社を2~3社に絞り込んだうえで、プレゼンテーションを依頼します。見積金額も重要ですが、管理会社変更のきっかけとなった問題点が解決されるかどうかを重点として検討しましょう。
各管理会社から出された提案書も吟味し、変更により管理の質があがるか、または管理費用に見合った管理サービスが提供されるか確認します。
4.プレゼンテーション実施
絞り込んだ数社のプレゼンテーションを開催し、総会で推薦する管理会社1社を理事会メンバーで選考します。プレゼンテーションにかかる時間は1時間ほどです。
管理会社の営業社員だけではなく、実際に管理を担当する社員の出席も依頼することで、担当者の人柄や緊急時の対応などを直接確認できます。1度のプレゼンテーションで決定しかねる場合や、より詳細に確認したい事項が出てきた場合は、複数回のプレゼンテーションを依頼しても問題ありません。
ポイント
- プレゼンテーションは理事会メンバーを対象に開催するとスムーズ
- 実際に管理を行う担当者にも出席してもらう
- 1回のプレゼンテーションで決めかねる場合は複数回の開催を依頼してもかまわない
5.総会・臨時総会の実施
推薦する管理会社による組合員向けの重要事項説明会開催後、総会または臨時総会にて管理会社の変更を決議します。可決には総会参加者の過半数の賛成票が必要です。
総会では事前に総会議案書を全組合員に配布する必要があります。議案書は理事会で作成してもかまいませんが、これまで管理会社に作成を依頼していた場合は、現行の管理会社に依頼するのは気まずいことが想定されるため、新しい管理会社に依頼してみましょう。
重要事項説明会の資料は推薦する管理会社が用意します。
ポイント
- 通常総会の開催予定日が遠い場合は、臨時総会を開催して決議する
- 総会議案書を作成して全組合員に配布する必要がある
- 総会参加者の過半数の賛成で可決となる
6.管理会社の解約
総会で管理会社の変更が決議されたら、現行のマンション管理会社に解約を申し入れます。解約の日にちを明記した「解約通知書」を作成して送付する方法が一般的です。業務委託契約の解約は原則として3ヶ月前の通知が必要なので注意しましょう。
ポイント
- 解約通知書を作成して送る
- 契約の解約は3ヶ月までの前通知が必要
7.新しい管理会社に引き継ぎ
いよいよ新しい管理会社へ引き継ぎです。各種書類、通帳、印鑑、共用部分のカギ、備品など、管理運営上必要なものを新しい管理会社へ引き渡します。
管理会社間で引き継ぎを行う場合が多いのが実情ですが、理事会メンバーの立ち会いを求められる場合もあります。立ち会わない場合は、引き継ぎが完了して新体制になった旨の報告を受けるようにしましょう。
ポイント
- 引き継ぎは管理会社間で行われる場合が多い
管理会社を変更するメリット
ここからは、管理会社を変更するメリットを解説します。
管理の質が向上する
管理会社を変更することにより、マンションのメンテナンスや資金管理の面などで、以前より管理の質が向上します。
具体的には次のような改善が見込めます。
- 清掃がすみずみまで行き届くようになる
- 設備のチェックや手入れが十分に行われる
- 管理費が以前より安くなって管理内容に見合うようになる
- 将来の大規模修繕工事に向けた修繕準備金の見直し
大規模修繕工事にかかる費用は算定時より上昇している場合が多いため、管理会社の変更を機に、修繕積立金の金額が適切かどうか再度の算定を依頼することもおすすめです。
管理組合の運営がスムーズになる
管理会社が変われば、管理組合の運営に関してこれまでより効率的な運営方法を提案してもらえる可能性があります。
大型のマンションでは、管理組合の運営は頭の痛い問題であることが多いものです。役員の選定や理事会、総会の開催などについて、実績の多い管理会社からアドバイスやサポートを受けられれば、多くの点で改善が期待できます。
管理組合の運営がスムーズに行われれば組合員の自治意識が高まり、結果としてマンションの管理が行き届き、マンションの資産価値を維持することにつながるのです。
住人の当事者意識が高まる
これまでマンションの自治に興味がなかった組合員も含めて、組合員全体の管理意識の向上が期待できます。
管理会社の変更には、会議の運営や業者の選定など組合員の自主的な行動が必要です。新しい管理会社へ移行するまでの期間は、問題提起の時点から1年近くかかる場合が多く、その間組合員同士で話し合いを重ね、意見を集約していく必要があります。
組合員同士のまとまりや自治意識の高さは、今後の組合運営においても明るい影響を及ぼすものです。
マンション管理会社変更の失敗例
さまざまな理由でマンション管理会社の変更に失敗してしまうケースがあります。よくある失敗例を事前に検証して、同様の失敗をしないように気をつけましょう。
管理の質が低下してしまう
委託管理費を下げることを主な目的として管理会社を変更した場合、管理の質が低下してしまう場合があります。見積もりとプレゼンテーションの段階で、委託管理費の額面だけではなく提供されるサービスの内容も十分に検討しましょう。
新しい管理会社は料金に見合ったサービスしか提供しません。契約後に契約内容より高いレベルのサービスを要求すると、最悪の場合は撤退してしまう可能性もあります。
業務の継続性が失われる
新しい管理会社へ適正な引き継ぎが行われないと、これまでうまくいっていた部分の管理に問題が生じる場合があります。
設備の老朽化の状態や点検業者の作業内容、周辺の地域環境など、マンションの状況は一棟一棟異なります。特に建築から年数が経っているマンションは固有の事情を抱えている場合が多く、詳細な引き継ぎが大切です。
役員を長期間務めるなどマンションの事情に詳しい組合員がいる場合は、引き継ぎに立ち会ってもらい内容に間違いがないか確認するとよいでしょう。
まずは信頼できる管理会社を見つけよう
マンションの管理会社を変更するためには、まず住民間で現在の管理会社の問題点について話し合いましょう。変更する場合は、新しい管理会社の候補を探し見積もり依頼が必要です。
見積もりが出たら委託管理費の金額だけではなく、提供されるサービスの内容もよく検討しましょう。
クレアスコミュニティーにはマンション管理の豊富な実績とノウハウがあります。無料で問い合わせも可能なので、管理会社変更を検討している管理組合の方はぜひお気軽にお問い合わせください。
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